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なぜか引き寄せられるレトロな喫茶店の魅力について語ってみた。

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古びたドアを開けると、香ばしい珈琲の匂いが流れてくる。煙草の臭いがかすかに紛れているが、ここでは嫌にならないから不思議だ。むしろ、レトロな雰囲気を演出している。静かに聞こえてくるスウィングジャズにやわらかく光るアンティークなランプ。時代を感じさせる机や椅子に個性的な窓や壁紙。それらが悠揚な時間を生み出している。
今回はそんなレトロな喫茶店の美について語りたいと思う。

レトロ感を生み出す上で大切なものは、時間だ。
傷や剥がれのあるテーブル。煙草のこげ穴がある椅子やソファ。表紙やページが破れている漫画本。かつては客に時間を知らせていたであろう、振り子の針が止まったままの古時計。これらの古びた道具が味わいをもたらす。見るたび、触れるたび、お店の歴史と物語が伝わってくる。時間だけが生み出せるレトロ感。真新しいアンティークな家具を揃えても、同じものは生み出せない。

目に見えない音や香りにも注目したい。
店内には、ジャズやクラシック、オペラが流れる。どれも何十年も前に作曲された曲だ。たち込める珈琲の香り、時間帯によっては、この店自慢のカレーやスパゲティの匂いも漂ってくる。優しく流れる音楽と香りにつつまれながら、一人ゆっくりと時を過ごす。

レトロな喫茶店には、一人で来る客が多い。
各々が読書をしたり新聞を読んだり書き物をしている。普通の喫茶店では、客同士の会話が店内に響くが、レトロな喫茶店ではそれはあまり目にしない。なぜなら客は、会話を楽しむために来ているのではなく、穏やかに過ぎる時間を味わいに来ているからだ。

レトロな喫茶店に欠かせないのが照明だ。
アンティークなランプが優しい光で店内を照らす。形や装飾も様々で、店内に飾られる花よりも、ひときは目に留まる。お店によって異なるランプを眺めるのも愉しみの一つだ。

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照明はランプだけではない。外から差し込む光もその一つだ。
レトロな喫茶店には3つの顔がある。朝と昼と夜。太陽の傾きの違いによって店内の明るさが異なるのだ。昼と夜とでは、また違った顔が見られる。この外から入る光を演出するのが、窓。モザイクガラスやステンドガラス、アーチ形の窓など、ガラスも形も独特なものが多い。それらがさらに、レトロ感を演出している。また、窓によっては太陽の光や夜のヘッドライトをガラスで屈折させ光彩をもたらしてくれる。

ふと窓の外に目をやると、人がせわしく動いているのが目に入る。それを静かに見つめる自分のいる空間が、外と同じ時間が流れているとは思えない。窓を境に時間の流れが違うような錯覚に陥る。いや、きっと錯覚ではなく、本当に流れている時間が違うのだろう。

そんな想いをめぐらせながらレトロな喫茶店の美について書き綴るのは、ここら辺にしておこう。

あなたも自分の町にあるレトロな喫茶店を一度探してみてはどうだろうか。長い時間が生み出した美に巡り合えるかもしれない。

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